「現代能楽集」のシリーズについて



「現代能楽集」の連作は、能の本質的な構造を根底から捉え返し、それを現代に開き、活かしていくために、岡本章によって1989年より開始され、現在まで多様な角度から持続的に14作の連作が試みられている。その取り組みの問題意識として、次の三点があげられる。一つ目は、言語レヴェルだけでなく、能の演技や身体性に注目し、対象化の作業を行うこと。二つ目は、そのため実際に能・狂言の演者の参加を得、共同作業を行い、その本質的な構造を浮き彫りにし、同時にその作業が「現在」に根差した新鮮な表現として息づくよう模索すること。そして三つ目は、能・狂言以外の多様な芸術ジャンルの表現者との共同作業を行い、絶えず各ジャンルの根底のゼロ地点に戻って、縮小再生産ではない、新たな「開かれた」表現の、関係性の場を目指すこと。この根源的な捉え返しの共同作業は、シリーズの中でも、能・狂言と多様な現代芸術ジャンルとの間で行うケースと、能・狂言の演者だけで行うケースがある。